クワガタのラファエルが伝えるインクルーシブの大切さ

アニメ、インセクトランド第5話はクワガタのラファエルが主人公でした。
斉藤貴美子さん演じるラファエル。動くことでより魅力が強まったキャラクターではないでしょうか。
  
ラファエルは、やんちゃであばれんぼう。みんなのことをよく困らせてしまいます。
でも本当は優しくて、みんなのことが大好き。
気分の波が激しく、自分の気持ちを言葉にすることが苦手。
幼児期のイヤイヤ期の子どものような特性もあるキャラクターです。
  
アニメのタイトルと同じ、自然教育絵本INSECT LAND『クワガタのラファエル、あばれんぼうのひみつ』は、インクルーシブ教育をテーマに描かれた作品です。
  
インクルーシブとは、障がいの有無や生まれた宗教や人種などに関わらず、いかなる人も社会から取り残されることなく包み込み、支え合うというような意味で、多様性を認め合い、共に学ぶ仕組みを「インクルーシブ教育」と言います。
  
キーワードとなるのは、『合理的配慮(ごうりてきはいりょ)』という言葉です。
平等よりも公平・公正。障がいのある人が、教育や仕事、そのほか社会生活を自由かつ平等に行えるよう、“適切な”サポートを行うこと。
また、配慮する側にも「過度の負担」を負わせないもの、となっています。
  
「合理的配慮」について実感を持って考えるために、3つのポイントをあげてみたいと思います。
  


  
1 )生き辛さを感じている人はマイノリティではない
    
日本は障がい人口が増加しています。
そう聞くと不穏なイメージを持たれる方が多いかもしれません。
その理由には、高齢化、また、発達障がいや鬱などの診断を受ける人が増加しているということがあります。
遺伝的な病気に加え、現代人の生活にはストレスも多く、精神疾患を増加させる傾向にあるとも言われています。
  
しかし、病気になる人が単純に増えただけではなく、「診断される人が増えている」ということがあります。
これは決してネガティブなことではなく、障がいや病気に関する理解や医療技術が進んだことにより、「支援や治療が受けやすくなる」というポジティブな要素です。
  
インターネットなどで情報が広く知られることで、疑問を感じた保護者も受け身なだけでなく、自ら発達支援や医療機関へつながるケースも増えました。
幼児期から発達障がいの傾向がわかり、個々の特性に理解を深めながら、二次障害をなるべく起こさないよう、こどもの健全な成長を支援することも可能になってきています。
また、発達障がいの診断がなくても、「困り感が強い」子どもへは、合理的配慮を取り入れるのが理想と言われています。
   
障がい認定を受けている人だけで約8%。
6人に1人とも言われる相対的貧困、妊婦さんや受験前の学生など、ストレスを抱えやすい環境にある人は3人に1人が鬱状態で「生きづらさ」を抱えているという説もあります。
   


   
2 )ほとんどの人々が経験する「イヤイヤ期」
   
幼児期の発達の過程とも言われる「イヤイヤ期」
大きな原因の一つは「言葉にしたいこと、成し遂げたいことがあるのに、上手く伝わらない。」
この時期の癇癪やこだわりなどは、発達障がいと似た要素が多いとも言われています。
      
決して何も考えていないわけではない。心には何かある。でも伝えられない。
そこから生まれた「イヤ」なのです。
     
その心に耳を傾けよう。寄り添おうとご家族は必死に努力しています。
大声で暴れたり、物を投げる子もいるかもしれません。
逆にものも言わず、ひたすら動かずに固まる子もいるでしょう。
子どもによってその状況は様々です。
「イヤイヤ期」という名称は可愛いですが、当事者となると笑い事ではありません。
躾がなってないと思われるかも、周囲に迷惑をかけてしまうかも、と毎日ビクビクしながら過ごすご家族も多いのではないでしょうか。
  
子どももご家族も、まさに生きづらさの状況そのままであるともいえます。
  


           
3 )完璧な人などいない
  
誰からも助けを得ずに生きられる人はいません。
実際には様々な配慮を受けながら私たちは生きています。
さらに、災害や事故で障がいを負う可能性、年老いて介護が必要になる可能性は誰にでもあります。
     
誰でも直面する可能性のある「生きづらさ」。 
これは社会全体で努力して寄り添っていく必要性がある課題の一つです。
        
多様な人がいるということは、配慮も多様。
明確なルールを決められないことも多いので、みんなで考えて行こうということで合理的配慮の事例をまとめたデータベースなどもあります。
             
<過去記事>
https://insect.market/blog/media/inclusive-education/
          


          
今回の『クワガタのラファエル、あばれんぼうのひみつ』では、イヤイヤ期やインクルーシブ教育について、直接的に語っているわけではありません。
子ども達の中には、ラファエルと同じ悩みを持つ子もいるかもしれませんし、振り回されてしまうミアやマキシームに感情移入する子もいるかもしれません。
それぞれの立場で、こういう時はどうしたらいいかな?と考えるきっかけになれば幸いです。
          
イヤイヤ期とインクルーシブ教育に共通する発達段階への理解を国民全員が持つことができれば、合理的配慮が進むきっかけになるのではないかと考えています。
差別や不平等ではサステイナブルな社会が作れず、悪循環が起こり、みんなにとって悪い結果を招きます。
          
もちろん、マイノリティでないなら配慮しなくて良いということではありません。
また、配慮する側に「過度な負担」を強いてはいけないということも忘れてはなりません。
          
ある部分では生き辛さを感じているけど、別の部分では得意なことがある。
助けてもらう人が助ける側に立つことがあり、また、その逆もあります。
サポートされた側の「ありがとう」や笑顔で、幸せをもらうことも沢山あります。
          
個々がそれぞれの特性に応じて活躍し、支え合える社会をみんなで考えていきたいと願い作られたストーリーです。

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