「早寝早起き・朝ごはん」がもたらす子どもへのベネフィットとは
先日、マスクの寄贈を支援いただいた国立青少年教育振興機構は、自然体験の促進や、絵本の振興をしています。
文部科学省の関連機構ということに加え、私たちの活動と親和性が高いという理由も、寄贈先となった理由でしたが、他にも興味深い取り組みがありました。
なんともインパクトある名称。『早寝早起き朝ごはん』というプロジェクトです。
家庭での食事、睡眠などの乱れを見過ごすことなく、社会全体の問題として、子供たちの基本的な生活習慣を確立させ、生活リズムの向上を図ることを目的として、振興が行われているそうです。
パパママは、家事や仕事が終わらなくて、眠るのが遅くなったり、朝はバタバタしていて、朝食を抜いてしまうことも多いと思います。
しかし、子どもにとって、睡眠と朝食が健やかな発達において非常に重要だという様々なデータがあり、近年、子供たちの生活習慣の乱れが学習意欲、体力、気力の低下の要因の一つとして指摘されています。
以下のグラフでも、朝食を毎日食べている子供の方が、学力調査の平均正答率や体力合計点が高い傾向にあることが分かります。
睡眠について
体温を下げて眠りやすくしたり、抗酸化作用や思春期が来るまで第二次性徴を抑えたりするメラトニンは、暗くなると分泌されます。
骨や筋肉を作ったり、免疫力を高めるのに必要な成長ホルモンは、入眠直後の深い眠りの時に沢山分泌されますが、記憶の整理や定着を行なっているレム睡眠状態は、入眠後2時間くらいから一定のリズムでやってきます。
睡眠時間が短いと、その日学習したことが定着しないというリスクがあります。
それでは、朝ゆっくり寝ていればいいかというと、また別の問題があります。
朝の光は、セロトニンという脳内物質の分泌を促します。
セロトニンは、ストレス対策などで度々メディアでも取り上げられるワードですが、不眠に影響しやすいとも言われています。
夜分泌されるメラトニンと朝分泌されるセロトニン。
この2つは相互作用し合っており、セロトニンがしっかり分泌されていないと、メラトニンも不足し、寝つきが悪くなったり、日中眠くなったり、機嫌が悪くなったりしてしまい、当然に学習効率も悪くなります。
<セロトニンを増やす3つのポイント>
1. 朝起きたらカーテンを明け、朝の光を浴びる
2. 朝ごはんをよく噛んでリズム良く食べる
3. 日中しっかり体を動かす
朝ごはんについて
学校の授業は午前中の方が学びのボリュームがあります。
脳のエネルギー源であるブドウ糖などの栄養素を補給し、午前中からしっかり活動できる状態を作りたいですね。
朝食はスムージーやコーヒーだけ。という大人は多いですが、『よく噛んで食べること』も重要と言えそうです。『噛むこと』で脳が覚醒し活発になり、消化器官が動き始め、内臓も目覚めます。
睡眠と朝ごはんが、学びに影響するということが分かりました。
Insect Collectionでも、服育の一貫として睡眠や食事の時のアイテムについて議論を重ねています。
米国やヨーロッパでは、子どもを火事や火傷から守るため、子どものスリープウェアはポリエステルの場合「燃焼性」、コットンの場合「体にぴったり沿うタイトなデザイン」が主流で、ゆったりしたシルエットのコットン100%が好まれる傾向にある日本とは随分異なります。
同じように食育にも繋がる食事関連のアイテムも、国によって様々なルールや傾向があります。
洋服をただの衣ではなく、教育まで昇華させるには、グローバリズムで異文化のものをどんどん取り入れるということでもなく、他国の学ぶべきところがあればそれも加味し、最新素材の情報も収集し、日本の環境や生活様式に見合うより良い物作りのために、日々勉強しながら考えてゆきたいと思います。