むし袋、むし箱(福袋)の卒業宣言!進めたい私たちのエシカル消費とは

  • 何度も試行錯誤をしながら実施してきた福袋。通称「むし袋」・「むし箱」。
       
    アパレル産業はまだまだ在庫ロスが多く、安価で売る前提の福袋やセール専用商品の生産は過剰生産の一因になっているとも言われています。
    私たちはそのような生産は断じて行っていませんが、「福袋販売」という行為は過剰生産の増長に加担しているのではないか。
    このことについて、社内では度々議論となりました。
       
    それでも「喜んでいただける福袋は価値があるのでは」「エシカルな商品や方法でも販売できるのでは」という思いを捨て切ることはできませんでした。
    問題となった高額転売には、数量や販売回数を増やすことで抑制したりと、改善を続けて取り組んできました。
    しかし残念ながら、毎回お叱りや不満のお声を沢山いただくという厳しい現実がありました。
       
    相反するご意見が多く来てしまうという状況も、むし箱作成時に頭を悩ませました。
    例えば、「雑貨が欲しい方」と「雑貨より服が欲しい方」、「ニットやシャツは着ないからTシャツが欲しい方」と「長袖が入っていると思っていた方」、といった具合です。
    ご要望で交換したい、返品したいと思われる気持ちは理解できますし、力不足であったことは身に染みて感じております。
    中身に関するネガティブな要素は、販売時にできる限り説明はしているつもりではありましたが、伝わりにくさもあったかもしれません。
       
    ご購入いただいたほぼ全てのお客様にご納得いただける福袋は、中身公開形式の福袋以外ありえない状況です。
    「昔ながらの福袋の意味」が失われた、「選べる」「中身がわかる」福袋が多い昨今の理由が、身に染みてわかりました。
    どの販売者さまも、工夫を重ねていらっしゃるのだと思います。
    しかし、私たちは専用商品の生産は行わず、大量生産もしていません。
    在庫をやりくりした福袋の性質上、価格はほぼ統一できても、中身を全く同じ割合にした福袋を多数ご提供することは困難でした。
        
    過去のカスタマーサポートのデータを見ると、むし箱販売時期とそれ以外では10倍以上の問い合わせ率、またネガティブな内容の割合がかなり高めであることもわかりました。
    こんなものいらなかった、というお声までいただくことも度々ありました。
       
    もとはといえば、初めてのお客様やサイズアップのお子様に喜んでいただくために始めた企画です。
    しかし、お客様に少なからず不満を持たせる結果となってしまいました。
    ご期待に添えられなかったお客様におかれましては、誠に申し訳ございませんでした。
      
    ご注文が大量に集中してしまうため、どれだけ発送期間を長くとってみても、物流関連のスタッフに負担がかかってしまうという大きな問題もありました。
     
    さらに、強い否定のお言葉を、連日にわたりお受けし続けるサポートセンターのスタッフの精神的負担が重く、「働きがいのある人間らしい仕事と経済成長」を掲げるSDGs8にも沿っていないと言える状況でした。
      
    もちろん、喜んでいただき、大切に着てくださっているお客様が大半であることも承知しておりますし、SNSなどでのお褒めのお言葉は励みにもなっておりました!
    また、適切に必要なもの、不要なものをお互いに交換してご利用いただいているお客様もいらっしゃいました。
    本当にありがとうございました!
       
    しかし、全体的に見るとあまりにもネガティブな要素が多くなっており、今後の販売について悩んだ末に出した結論は
    「やはり、欲しいと思う商品を選んで購入してもらおう」
    ということでした。
     
    私たちは倫理的消費(エシカル消費)推進にも取り組んでいるブランドです。
    多くのお客様が喜んでくださったとしても、その陰で「嫌なものを買ってしまった」というお客様や、辛い思いをするスタッフを増やす売り方は本意ではありません。
        
    こういった観点から、今後の子どもの日、虫の日も、むし袋やむし箱の実施は白紙に戻すことにいたしました。
       
    どんなことでも、成功だけが続くことはほとんどありません。
    私たちがこうしてチャレンジして失敗した経験も、今後に活かしていければと考えております。
      
    多くの子ども達に「着たい」、「着せたい」と思っていただける物づくりにより一層勤しみ、
    中止や終了ではなく「卒業!」という気持ちで新たな企画に取り組んでまいります。
      
    今後とも、INSECT MARKETを何卒よろしくお願いいたします。
         
     

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