Bushidoで学ぶ。非認知能力向上のヒント

  • 武道は平成24年から中学校の必修となりました。

    文部科学省では、『武道は武技、武術などから発生した日本固有の文化であり、相手の動きに応じて、基本動作や基本となる技を身に付け、相手を攻撃したり相手の技を防御したりすることによって、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことができる運動。また、武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視する運動』としています。

     

     

    文化継承、身体的運動、道徳的価値を学ぶことを目的として学習指導要領に盛り込まれていると理解しています。

     

     

     

    さて、皆さんは『武士道』という書物を読まれたことはあるでしょうか。

    明治時代に『Bushido the Soul of Japan』というタイトルで出版され、今も世界中で愛されている本です。

     

     

    私は、小さい頃から剣道をしていました。

    のめり込んだのは、道場にあった『初心』という言葉の再現性です。

     

    稽古を重ねると、試合で勝てるようになります。

    しかし、ある日突然スランプに陥り、勝てなくなることがありました。

    そんな時、一番下の子ども達の稽古に混ざると、スランプ前よりも強くなれました。

    これを1,2年のサイクルで、何度も繰り返しました。

    再現性が面白くて、柔道や弓道にも挑戦しました。

     

     

    『初心忘れるべからず』の効果に魅了されていた私が『武士道』という本に出会ったのは、大人になってからです。

     

    日本と世界の架け橋となるべく新渡戸稲造が書いたこの原文は英語ですが、世界中の言葉で訳されたり、子ども向けに意訳された書籍も多数出版されています。

     

     

    武士道といっても、戦いに勝つためのことばかり書いているわけではありません。

    この本自体が『日本人の紹介』のために書かれたものなので、日本人の国民性や、思考の根拠などが、外国の人にもわかりやすいエピソードと合わせて表現されています。

     

     

    沢山好きな言葉がありますが、特に子ども達に伝えたい武士道は、Politeness(礼儀)の章です。

    武道の基本に「礼に始まり礼に終わる」があり、相手を敬い、感謝の心を重んじます。

     

    (In its highest form,)politeness almost approaches love.

    礼儀は愛であると言っても過言ではない。

    友好関係にありたい人に対し、礼儀が必要。
    だからコミュニケーション能力を高めるには、食事のマナーや洋服のマナーなどをきちんと学ぶ必要があるとも書かれています。

     

    コミュニケーションで大切にしたい物事を、100年以上前の文章から学べるなんて興味深いですよね。

     

    その他にも、傲慢にならない、相手のことを思うなら間違いは正す、判断力の重要性、弱者を守るなど、子どもの教育に重要な要素が詰まっています。

    子ども達の生きる力を育むことを目的とした学習指導要領において、武道はこうした非認知能力を高めることにも寄与してくれると思います。

     

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