INSECT LAND第7作『ハチのテオ、おてつだいのレシピ』で食育テーマを選んだわけ
4月23日の「子ども読書の日」に、自然教育絵本INSECT LAND(インセクトランド)第7弾、『ハチのテオ、おてつだいのレシピ』が刊行されます。
主人公は、マメコバチのテオくん。インセクトランドのプリンスです。
英語やフランス語交じりのユニークな話し口調で、どんな相手でもお友達にもなれる、コミュニケーション上手な子。
特技は、ダンスとSing a song!喜怒哀楽の表現も楽しいキャラクターです。
そんなテオのお話は、みんなの力を借りながら、おいしいフルーツタルトを作っていくストーリー。
そう、テオが「おてつだいする」話ではなく、「どうしたらおてつだいしてもらえるか」がテーマになっています。
お手伝いしてもらうためのコミュニケーションのことを「レシピ」と表現し、このタイトルがつけられました。
フルーツタルトが完成したページは、こすると甘いハチミツの香りがする仕掛け付き!
後方のページには、お話のフルーツタルトが作れる本物のレシピも付いています。
火を使わないロースイーツなので火傷の危険もなく、子どものクッキング体験にもぴったりです。
ぜひご家族でチャレンジしてみてください!
実際におうちで作ってみると、驚くほど美味しく、あっという間になくなってしまいました。
コミュニケーションもテーマのストーリーですが、美味しいフルーツタルトにまつわるお話になったのは、ハチなどの花粉媒介者がいかに私たちの食卓を支えてくれているかも、子ども達にも知ってほしかったからです。
しかし、昆虫は、実際は自分より小さい昆虫や、木の樹液、葉っぱや果物や野菜などを主に食べています。
そして人間のように多様なものを食べるわけではなく、もちろん火を使う調理もしません。
お料理の表現をどのようにインセクトランドの世界に取り入れるべきかは大変悩み、とても難航しました。
試行錯誤した結果、火は使わず、食料を切ったり、砕いたり、捏ねたりと、昆虫の世界で行われていても違和感が少ない調理方法でお料理をする、という表現になりました。
また、本来マメコバチのオスは受粉活動はしません。さらに、針もありません。
なぜならば、針は卵を産むための産卵管が変化したものだからです。
受粉活動を行うのも、針を持っているのもメスだけ。
ところが、テオは男の子ではありますが受粉のお手伝いもするし、お洋服には針のような飾りまでつけています。
コミュニケーションが得意で、自由な表現活動が大好きなテオは多様性の象徴なのかもしれません。
今、世界的にミツバチが減少し、食糧危機に大きな影響を与えると言われています。
アーモンドやコーヒー、小麦や野菜果物など、直接的に受粉の恩恵を受ける植物や食料はもちろん、それらをエサに生きる生き物、家畜などにも影響は及んでいきます。
ミツバチの減少理由は、寄生虫の流行や農薬散布、都市化による自然の減少。
また、日本であれば養蜂家の廃業など、多岐に渡ります。
もしハチがいなかったら、スーパーに売り物がなくなるというシミュレーション画像を見たことのある方も多いのではないでしょうか。
絵本の巻末にある、著者メッセージではさらに詳しい説明やお話がありますので、ぜひお手にとってご覧ください。
この絵本を通して、改めて自然や昆虫から受けている恵みについて、親子で話し合っていただけたら嬉しいです。