知っておきたいSDGsの最重要課題『STI』について
これまでINSECT MARKETでは、SDGsについて度々お話しをしてきました。
日本も2015年に国連サミットで採択されたことを受け、2016年にはSDGs推進本部が内閣に発足されています。
各省がそれぞれに対策や目標を掲げていますが、SDGsは全世界が共に目指すゴールゆえ、各省庁での取り組みが重複したり連携したりしていることもあります。
今日取り上げる『STI(Science, Technology and Innovation)=科学技術イノベーション』もその一つ。
世界で、もちろん日本でも最重要課題の一つとされているのが、ライフサイエンス、環境・エネルギー関連、システム・情報技術関連、ナノテクノロジー・材料関連などの、持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション:STI for SDGsです。
重要だと考えられているのには、2つの側面があると理解しています。
一つはそのまま、サステイナブルな地球のために、科学技術のイノベーションを起こすこと。
既に、取り返しがつかないほど深刻化している社会課題がある中で、今までにないテクノロジーだけがそれを救済できる可能性があるという分野も存在します。
もう一つは、逆にSDGsを活用し、科学技術のイノベーションに貢献できるチャンスでもあるということ。
文部科学省の科学技術・学術政策局は、SDGsを軸に科学技術政策を進めることで、以下のような科学技術イノベーションに好ましいインパクトが起きる(SDGs for STI)ことを想定しています。
1.共通目標・共通言語
SDGsは世界統一の目標。文化・国境・専門分野・組織・世代等を超えて受け入れられやすい概念であり、全ての人の共通目標・共通言語として機能する。 異分野連携、産学官連携、国際協力といった連携を起こしやすく、科学技術による価値創出を促進することができる。2.日本のイノベーション・エコシステムの変革
モノづくり・モノ消費の時代から、コトづくり・コト消費の時代へ。
「世界で最もイノベーションに適した国」を実現するために、SDGsやSociety 5.0を、起こすべき変革の軸として活用できる。3.新しい科学技術の潮流
研究者にとってSDGsは新たなニーズとそれに基づく知的好奇心の発見というフロンティアとなる可能性があり、ニーズの多様性と相まって新しい科学技術の潮流を生む可能性がある。4.科学技術イノベーションへのこれまでなかった人材層の動員
全員参画型で取り組むというSDGsの理念により、これまで必ずしも科学技術に興味のなかった人材層が科学技術イノベーションの担い手として参画する可能性がある。5.社会的価値という軸
科学技術政策は、これまで知的価値、経済的価値、社会的価値のバランスで時に揺れてきたが、SDGsにより社会的価値の意義や評価軸がより堅牢になるため、 政策展開上の一つの軸になる。
サステイナブルな地球のため、今日も世界中で社会的価値ある研究が進んでいることに感謝しています。
研究開発者の皆さん、その支援をされている皆さんに敬意の気持ちを忘れず、私たちがSTI for SDGsに興味関心を深めれば、日々の倫理的な行動を継続するモチベーションにも繋がるのではないでしょうか。